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【映画レビュー】『かぐや姫』は天人の悲しい宿命を描く仏教説話【天人の音楽】

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※2015/3/14 fc2の旧ブログ「現象界と異世界と」から引っ越した記事です。

高畑勲監督の「かぐや姫」DVDでも観たものの、昨日地上波テレビでも放映していたので改めて観た。

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やはり、かぐや姫と育ての親の別れにはあまり何も感じないけれど、月からのお迎えがやってくるシーンと天人の音楽にはとめどなく涙が流れてきてしまった。

ちなみに、月のお迎えがやってくるシーンに流れるあの明るい曲は天人の音楽Ⅰというそう。

久石譲『かぐや姫の物語 サウンドトラック』の中の1曲で、バラでも購入可能です。

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以下、ネタバレ感想文。

これまでもたくさん議論されてきたけれど、かぐや姫の物語は実際に起きた出来事で、そして「月世界」は仏教では「阿弥陀浄土」と呼ばれている天界、六道輪廻の最後の段階の世界の暗喩。

天界には人間界にある愛別離苦、怨憎会苦、そういった苦しみがない。天界の住人は人間よりもはるかに長く生きるといわれ、およそ400年から長ければ4000年も生きるという。

そして、人間でいえば超能力にあたる、不思議な力が使える。それが、月からのお迎えに向かって帝の軍が放った矢がすべて花に変化し、翁や帝など、かぐや姫の昇天を見定めるべき人々以外を眠らせてしまった。その力によって、かぐや姫は抵抗虚しく、操られ迎えの雲に引き上げられてしまう。

かぐや姫を迎えに来たあの雲に乗った一団は、阿弥陀如来の来迎図そのものだ。

阿弥陀来迎図

画像出典:絹本著色阿弥陀二十五菩薩来迎図 (京都国立博物館)PD

阿弥陀如来は六道輪廻の最後の世界、天界の守護者であると同時に管理者で、つまりかぐや姫が行く先は月世界とされる阿弥陀浄土、極楽浄土だ。浄土はまさに穢れのない地で、そこの住人達からすれば、地球は穢れに満ちている。

かぐや姫は、穢れの地である地球に憧れた罪で地上に落とされた。地上での生活すべてが「罰」だからこそ、彼女の願いは叶わない。

幼少期の日々の幸せは、その後の不幸せを味わうためだった。

与えてから奪う。

夢を見させて、叶えさせない。

捨丸は架空の人物像だけれど、彼がいてもいなくても、幼少期の幸せの記憶には大差はなかったかもしれない。

かぐや姫がずっと憧れ続けたのは田舎での野山を駆け回り虫や草木や、自然の営みの中で自らも人間として生を営んでいくこと。

だから、本来は捨丸でなくても良かったのだ。だから、何人も女性を泣かせ尼寺送りにしてきた公達の愛の言葉に心が動き、正体を知っていた嫗が彼を追い払い真実を告げたとき号泣したのだろう。

彼女が地上で経験したかったこと。生きる実感を味わうこと。心から愛した人と愛し合い日々を送ること。それを叶えてくれる人はついに現れなかった。

夢見た全ては実現せず、だからこそ彼女は無意識で月世界へ助けを求めるようになる。全ては、彼女ではないもっと大いなる存在の計画、この場合は阿弥陀如来かもしれない。その計画の一部だった。

地上は魂の牢獄。輪廻の輪の中に留められ、生老病死を繰り返す。

その中で、かぐや姫は天界から人間界に落とされ、また帰っていった。

けれど、かぐや姫が人間界に憧れた真実の理由は?天界にはないものに憧れたからだ。それは生きる実感だけではなかったかもしれない。

六道輪廻の最終段階、最高位の天界は、満ち足りた世界ではあるけれど、そこに生まれ悩みも苦しみもなければ、たどり着けない場所がある。

仏界、解脱後の世界だ。

天界の寿命は長く、悩みも苦しみもない平穏な日々の繰り返しの中で、人は悟りを求めることも開くこともない。

天界の住人の中でも、死後に仏界へ進める者はごく僅かいるそうだけれど、ほとんどは天界の長い年月のあとは、人間界の死よりもむごたらしい苦しみを味わい、死が訪れ、その後はまた六道のどこに生まれ変わるかは分からない。

実は、苦しみ悲しみに満ちた穢れの地、人間界こそが最も悟りに至る道が用意された、仏界に近い世界だと、かぐや姫は気付いていたかもしれない。

天界で天人達はみな、何不自由なく、不満なく暮らしている。だからこそ、この世界のさらに上の世界があることも、行くことも夢見ないのだろう。そんな中で、誰もが安住している世界に疑問を投げかける存在、かぐや姫やそれ以前に地上に落とされた人々は、「罪人」だった。

抜け駆けをしようとする魂を許さず、悟りを開く前にもう懲り懲りだと、自分が間違っていた、もうこんな場所にはいたくない、と叫ばせて居心地の良い極楽浄土という名の別の牢獄に連れ戻した。

地上に、人間に生まれてくる魂はすべて、過去世の未練を解消するために生まれてくるのだという。

もっと生を味わいたかった。

そこには、悲しみや苦しみすら含まれていて、とことん人間としての生を味わい尽くしたら、未練が全てなくなったら、解脱という形で六道輪廻、天界すらも超えた世界へたどり着けるのかもしれない。

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